【ARIA】DMM VR THEATER YOKOHAMA公演 完全レポート!
2019.01.27
世界各国で支持を得る、ヴァーチャルアーティスト“IA(イア)”による全く新しいミュージカルライブショウ“ARIA”。
その日本公演が、横浜の「DMM VR THEATER」にて、全4公演開催された。
“IA”とその妹“ONE(オネ)”が「惑星ARIA」と地球を舞台として、物語を紡いでいく・・・
純粋な音楽ライブを超えた壮大なプロジェクト、それが“ARIA”だ。
IAとONEの、他に類を見ないヴァーチャル【アーティスト】としての圧倒的な歌唱力・パフォーマンス力に魅せられ、そして、その最新ステージを心待ちにしていた多くのファンが会場を埋め尽くした。
日仏で共同制作され、昨年6月には仏アンギャンレバン市のデジタルアートフェス内でプレ上映され大反響を呼んだという、“ARIA”の登場人物たちの4K60fps超美麗ホログラム映像を、多元レイヤーで構成されたペッパーズ・ゴースト型ホログラムにて投影。
VOCALOIDとCeVIO、2種類の音声合成ソフトウェアにより生み出されるIAとONEの声に、実力派アーティスト達によるオケをMIXした多種多様なジャンルの楽曲群と、それらを出力する5.1chサラウンド音響システムによる音場の立体感。
総勢18名を数える生身の人間のキャストとIAとONE、リアルとバーチャルの一糸乱れぬシンクロによるパフォーマンス。さらにそれらに照明と、香りの演出までも加えた、まさに「音楽」「アート」「テクノロジー」のクロスオーバーと呼ぶべきARIA公演のポテンシャルに、大きな期待が寄せられていたのだ。
冒頭、ステージに映し出される楽園、美しい木々や花々と実在しない動物とのふれあい。まるで異世界のミュージカルを観ているような興奮に一気に引き込まれる。
2012年始動時からのIAとONEの軌跡を辿るダイジェストがステージ中央の球体が映し出されると、オーディエンスは、押さえきれずに“例の光る棒”を手に一斉に立ち上がる。
そして物語は「第2章」に移行する。
《PARTY A GO-GO Ⅱ》世界12都市で開催されたIAのファーストツアー“PARTY A GO―GO”の続編となるライブパートのタイトルが大写しになると、光が集約して、中央にIAの形をつくる。
6人のリアルダンサーが登場してその光を囲い激しいダンスを始める。
『Conqueror』。リアルと仮想が寸分違わぬ動き。
赤、黒、緑、の光に合わせて軍服調の衣装を纏ったスタイリッシュ動きと歌声は、高尚な世界を一気にライブの興奮に塗り替えた。
「お元気でしたか?皆さんに会えて、嬉しいです」とIAが喋り始めると会場には、ホッとした温かい空気に満たされる。
「次の曲は妹のONEがお届けします」ステージにスッと現れた彼女が『ホロンボット』を機械のような動きで歌い始めると、頭上にはぎごちなく回る歯車の映像が。
波形センサ、ノイズ、イコライジング、様々なメカニカルなアクションが、楽曲のスピードを超加速させていく。
途中からIAも登場し、ステージ上で手を重ねると会場からは拍手が巻き起こる。
改めて、姉のIAから自己紹介を促されると「えーONEからやるの?」と照れながらご挨拶。一方、IAは「地球に来て7年になります。毎日が刺激的です」と流れるように挨拶をこなすと「よくスラスラ出て来るな」とONE。
そんな二人のやり取りをほっこりしながら、全員見守っている。
桃色と山吹色の忍者を模した衣装に瞬時に着替えた2人が、「ヤッ!!」と囃子に合わせた威勢の良い掛け声を入れながら『Reload』。富士山、折り鶴、家紋・・・和の要素をふんだんに盛り込んだ演出をバックに、艶やかな動きで客席を魅了。
桜吹雪が散り、若草が流れ、雪が舞う、四季折々の日本の美を見せつけながら、一気呵成に駆け抜ける。
またまた着替えたコスチュームで、キッズダンサーをステージに呼び入れ、今度はHIP-HOPの世界を体現。
共に繰り出す華麗なダンスは、スタイリッシュなサウンドとPOPな光のショータイム。
一転、今度はピンクのフライングV=エレキギターを手にするとリアルギタリストとリアルベーシストがサイドを固め、熱いRockセッションを開始。
ギターがストロークで掻き鳴らすと『ロスタイムメモリー』が始まり、バンドインでベースの重低音が唸る。
IAとギタリストとベーシストの息のあったアンサンブルは、次曲『チルドレンレコード』まで途切れる事なく紡がれていく。
ステージがデジタルの幕に包まれて、もう何度目かのコスチュームチェンジ。
ピンクとオレンジの衣装。観客もちょうど半分半分のピンクとオレンジに光に染まる。
『てるみい』では「ARIAロックフェス2019にようこそ!!」あまりの盛り上がりに、そもそものタイトル変えてしまう程の洒落たMCを飛ばすIA。
コール&レスポンスが始まるとこの日の最大級の盛り上がりを生み出す。
客席にキッズダンサーが飛び出して、ここぞとばかりにぴょんぴょんジャンプして可愛らしく煽る。
ここではもう仮想とリアルにある境は完全に消えてしまっていた。熱狂のライブパートが終わり、第3章。
「ARIAは音を奏で、共鳴することで調和をしている星です」打って変わって、真剣なMCのIAが「皆さんを少しの間、ARIAにお連れします」と、劇場は咲き誇る花、囀る小鳥、光の断層、美しい清流に溢れた楽園に様変わり。
客席も水を打ったように静まると「少しの間、心を解き放ちましょう」透明な歌声で『Rezonanse World』を歌い始める。
すると真白いワンピースがにゆっくりと綺麗な花に満たされていく。
一見すると気づかないほどのスピードで、ゆっくりゆっくりと。
光に包まれた蝶々が花の香りに誘われてIAに寄ってくる。
なんという光景だろう。
ここから“ARIA”は最終章を迎える。
『Eternity and More』は煌びやかな大都市を舞台に、豪華絢爛なステージングを展開。キメた衣装のパフォーマーへの喝采が如く上に下に舞い散る金粉、飛び立つ鳩、輝くネオン街。
美しい自然の“惑星ARIA”と、人間が創り出した最も美しい文化の対比。
人間の可能性がこの曲の中に集約されているように感じさせた。
そして最高のクライマックスを迎えた『HIGHER』ではその日のリアルダンサーが次々と登場し、それぞれの個別に最強ダンステクを魅せる。
IAもそれに呼応してダンスのテクニックを吊り上げていき、最後にはサイドから投げ込まれたボールでジャグリングをしてしまうという大道芸的テクニックまで披露。
ダンサー・ミュージシャン・オーディエンスも含め、人間とヴァーチャルアーティストはまさに一つになって狂熱の空間を創っていた。
「最後に心を込めてこの歌を」IAのメッセージとともに、その日の本当のラストは『ARIA ON THE PLNETES~Best wishes for you~』。再び“惑星ARIA”から。
左のスクリーンが赤の滝、右のスクリーンが緑の滝、そして愛で満たされたようなピンクの照明。幻想的な景色の中で、客席も次第に隣人と手を繋いで、ゆっくりと右に左に体を揺らす。クラウドファンディングの企画で呼びかけたファンもステージに上がり、その空間すべてが一体となる。
「共鳴」「調和」。物語のテーマを十分なまで伝播させ、結びつける素晴らしい歌声。
ラストのカーテンコールでは、すべての出演者が登場して鳴り止まない大きな拍手を浴びていた。
IAとONEの織りなすARIAの世界は、目をみはる技術への驚きと感動、ライブの高揚によるミクスチャーというある種、異様な興奮の中で幕を閉じたのである。
フランスでゲネプローペを経た日本での初日公演を皮切りに、“ARIA”はWorld Tourをスタートさせる。
進化を繰り返す“IA”と“ONE”、そして“ARIA”はこれからも世界に驚きと感動とそして調和を巻き起こすことだろう。
【ARIAオフィシャルサイト】